この研究は、食肉産業のデジタル変革(DX)を加速させるための技術革新を目指しています。開発されたのは、実際の食肉を使用せずにその中心温度を測定できる模擬装置です。この装置には、魚、牛、豚、鶏などの食用動物の肉を模倣する特殊な材料が用いられており、食肉の中心温度変化をリアルタイムで捉えることが可能です。
研究者
坪内 直人 准教授
北海道大学 大学院工学研究院 附属エネルギー・マテリアル融合領域研究センター エネルギー変換システム設計分野
篠原 祐治 博士研究員
研究内容
食肉の品質管理において、中心温度の正確な把握は欠かせません。これまでは、表面温度のみを測定することが一般的でしたが、この新しい装置により、食肉の中心温度を直接、かつ正確に測定することが可能となります。この技術は、食肉の鮮度を保ちながら、貯蔵や輸送中の理想的な温度管理を実現します。また、この装置は『MIRASAL(見らさる)』という鮮度と食べ頃を可視化する装置と連携することで、食肉を傷つけることなく、その品質を保持することが可能です。
社会実装のイメージ
この装置の応用範囲は広く、漁業から小売、さらには家庭まで多岐にわたります。漁港や魚船上での魚の品質管理、食品運搬用保管容器での温度管理、低温ショーケースにおける小売業での品質保持、家庭での冷蔵庫内での食肉の鮮度維持など、さまざまなシーンでの利用が想定されます。
研究の独自性やポイント
この技術の最大の特徴は、食肉の中心温度を正確に測定できる点にあります。これにより、食材の鮮度をより長く保持することが可能となり、食品廃棄の削減にも寄与します。また、電気代や燃料費の削減にも繋がり、経済的な利益と環境保護の両方を実現することができる革新的な技術です。
参考リンク 研究室リンク 研究者情報